平成 27年3月 14日(土) 14 時から甲南アセット大開ビル別館 5 階会議室にて講師とも21名が参加され、本年度12回目(通算120回目)の起業の鉄則研究会が開催されました。
今回は、ブレーンストーミング形式で、ベンチャー企業の課題について、参加者の方々が4グループに分かれて、講師と一緒になって、課題の解決策について意見を出すことを行いました。その前段として1部は、証券アナリストによるアベノミクス政策で効果が上がっている外国人旅行者の動向をビジネスチャンスにしているドン・キホーテの取り組みやビジネスモデルの柔軟性についての講義、2部は兵庫県からも賞をいただくほど注目度が高いビジネスでありながら、業績の伸び悩みに直面しているベンチャー起業家のビジネスモデルの講義と、課題解決の核心になる4つテーマについて、参加者全員でブレーンストーミング形式で意見を出し合いました。意見をいただいたベンチャー起業家はもちろん、参加者の中にも同様の問題を抱えている方も多く、多様性のある意見が多く出た研究会になりました。
参加者は、大学生、3Dプリンタ起業家、飲食店経営者、IT経営者、環境製品販売経営者、ネット事業者、社会保険労務士、女性起業家など様々な業種の方々が参加されました。
◆【第1 部】 「ここだけの話です!円安?円高?いいのはどっち?収入が増える政策と景気のつかみ方」
講師:証券アナリスト 窪田 勲 氏
・日本では足利義満が金閣寺を創建したころ、欧州では後世に300年以上繁栄が続くビジネスモデルを
築いた人物がジョバンニ・ディ・ビッチ・デ・メディチ。彼は、国と国とをまたいだ国際為替決済システムと
いうビジネスモデルを開発。しかし、これほど長く続くビジネスモデルはまれで、多くは周りの変化に合わせて、
修正していくのが効果的。
・ビジネスモデルを活かすために経済の動向、変化の生まれる背景をつかむことは重要。日本の景気動向
(GDP)は、鉱工業生産指数の動向とほぼ同じ動きをしている。日本全体で見れば、円安になれば名目GDP
は増加傾向になり、円高になれば名目GDPが減る傾向がある。
・昨年海外から日本への旅行者が史上最高。特に中国、韓国、台湾、タイなどから急増。その旅行者が日本
で使う消費額は平均13万6693円。東京−富士山−京都−大阪がゴールデンルート。新宿、大阪市、京都市
に立ち寄り、神戸の有馬温泉も第26位の人気地区。消費額のうち買物代、宿泊代、飲食代の順でお金を
使っている。外国人は日本の食事、ショッピング、温泉などに魅力を感じている。お土産には菓子類、
食料品、電化製品などが人気。この動向をビジネスチャンスとしてうまく取り込んで業績を上げているのが
ドン・キホーテ。
・他言語での商品案内、営業時間の柔軟化、無料配送サービス、HP、コールセンターなどでニーズを取り込む
体制づくり。そして、旅行者が味わいたいワクワク・ドキドキ感の演出重視。
◆【第2部】 「配達代行事業 ”街の宅配屋さん”今後の事業展開について」
講師:株式会社オーシャンネットワーク 代表取締役会長 大澤 邦章 氏
・当初は京都に本部にあるフランチャイズとしてスタート。京都本部が倒産し、新会社を立ち上げ再出発。
お寿司屋、魚屋等から配達ニーズあり。 ・繁盛店にとっては店内の席数を増やさずに、増収できる仕組みで
あり人気ある。一方、酒屋、 新聞配達など配達したいニーズがある。また、魅力ある人気店の食品を
パッケージ化し、一 度に注文できる新しい形態でもある。
・ブレーンストーミングのテーマ @出前についての消費者ニーズ、A収益につながるアイデア、
B消費者へのメリット・サービス、C販路開拓(加盟店探し)
→各テーマごとに模造紙へ、意見を記入したポジトイットを貼っていった。
→株式会社オーシャンネットワーク 大澤会長、井上社長に提出。大澤会長、井上社長より謝辞。
◆小林塾長からの講評
みなさまからたくさんの意見をいただき、ありがとうございます。今回のブレーンストーミングは、
意見の方向性までは出していませんが、これらを参考にオーシャンネットワーク様の社内でさらに
検討されるでしょう。宅配ビジネスは将来的に有望で、同じ宅配ビジネスで成功している竃イの街創造委員会
はお客様のニーズをうまく捕まえて急成長している。 現在、甲南アセットでは不動産を購入するために、
仙台、山形等にまで物件を見に行っている。しかし、最初は近場の神戸三宮の1億円以下の商業ビルから
買い始めた。当初はノウハウがないから、相手先の言値で購入。そうしながら勉強を重ねている。不動産事業は
巨額の資金が必要で、自己資金だけやれるものは少ない。金融機関からの信用が不可欠。その信用がつくと、
10億円単位でも融資していただける。そのためには、自社のビジネスモデルを作って、信頼されるキャッシュ
フロー経営が不可欠。金利分の支払払いを踏まえて、当社なりの最低ラインの収益率が見込めない物件には
手を出さない。不動産事業では、商業ビル、レジデンス、社宅などいろいろあるが、入居者のリスクを見極られる
か?安定したキャッシュフローを稼げるのかにノウハウがいる。その点においては、環境の変化に応じて、
ビジネスモデルも柔軟に変化させるというフットワークの軽さも必要。今回のブレーンストーミング形式などを
今後は取り入れつつ、起業家の方々により役立つように、当会の運営を工夫していきたい。
終了後、近くの料理屋「雄司」で懇親会を開催。今回の懇親会では、小林塾長の不動産事業に進出する
切っ掛け、魅力ある不動産事業者との出会い、夢の共感、従業員に対しては働いてもらうというよりも、手伝って
いただくくらいのスタンスが丁度良いなどについてじっくりお話を伺える場となった。合わせて、起業をめざす
方々にとって、借入金はせずに、何とかやりくりすることの大切さなどの資金管理についての情報交換ができた
懇親会となった。
次回は4月11日大阪会場にて開催予定。
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