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令和5年 年頭所感

近畿経済産業局長 伊吹 英明 
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令和5年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

昨年の関西経済は、新型コロナウイルス感染症が落ち着き始め、回復の兆しが見えた1年となりました。国内の需要喚起策の実施や水際対策の緩和により人の流れが戻りつつあり、コロナ前の水準までとはいかないものの個人消費の回復が見られました。また、円安による輸出産業の収益改善などのプラスの動きも見られました。一方で、国際情勢の影響による原材料価格やエネルギー価格の高騰、急激な為替の変動により物価高騰に拍車がかかるなど不安定な状況が続きました。
先行きについて依然として不透明な要素はあるものの、GX・DX 等の社会課題の解決による新たな需要の創出や、それに伴う国内設備投資の拡大など、前向きな動きや更なる賃上げも期待されます。また、2025 年大阪・関西万博の開催に向けて、今年はパビリオン建設やチケット販売などが始まり、具体的な形が見えてくる一年になります。

これらの動向を踏まえ、近畿経済産業局では、以下の3つのキーワードのもと、様々な取組を行っていきます。

1つ目は「中堅・中小企業の支援」です。
本年はコロナ禍から脱却し、企業が成長するための足固めとなる1年です。これまでにコロナ対策として融資を受けている多くの企業への資金繰り支援を引き続き実施するとともに、当局が昨年策定した経営分析ツール「ローカルベンチマークAct」の活用など、金融機関等と連携し、企業の財務体質や収益力強化に向けて支援していきます。
また、昨今の不安定な国際情勢に起因する電気やガス料金、原材料費等の価格高騰については、政府としてエネルギーの安定供給の確保や激変緩和対策に努めるとともに、価格転嫁を促進するなど取引適正化を後押しし、企業が収益を改善し賃上げしやすい環境をつくっていきます。
さらに、サプライチェーンの強靱化や、中堅・中小企業が取り組む事業再構築を進めるとともに、円安をチャンスと捉え、中小企業の輸出促進や海外展開を支援していきます。

2つ目が「中長期的な成長基盤の構築」です。
中長期的な成長を図るべき分野の1つに環境・エネルギー分野があげられますが、2050 年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、中小企業の多くはカーボンニュートラルが今後の自社の経営に影響を及ぼすと感じつつも具体的な方策まで至っていないのが現状です。そこで、当局では関係機関と連携し、普及啓発や、企業の省エネルギーの推進に向けて昨年10 月に開設した省エネ相談窓口での相談など、企業の取組状況に応じたきめ細かな支援を行っていきます。また、カーボンニュートラルの実現に向けた革新的な技術の開発についても、企業の積極的な投資を後押ししていきます。
カーボンニュートラルの実現に向けて重要な蓄電池は、今後世界的に市場が拡大すると予測されており、国内外での製造基盤の強化が求められます。それに伴う研究開発や製造などを含めたサプライチェーン全体での人材不足に対応するため、蓄電池の製造品出荷額の全国シェアの三分の一を占める関西地域において、昨年、関西蓄電池人材育成等コンソーシアムを発足させました。
本年も引き続き産学官の連携により、産業界のニーズに即した人材を育成・確保するための取組を進めてまいります。
また、関西に産業集積があり大規模プロジェクトが進められている水素についても、ビジネスマッチング等を通じた中小企業の新規参入促進を進めていきます。
さらに、ライフサイエンスやバイオものづくり、DX など、今後の成長が期待される分野において、スタートアップによるイノベーション創出が期待されています。当局では、関西発のロールモデルとなる有望なスタートアップを「J-Startup KANSAI 企業」として選定し、公的機関と民間企業が連携して集中支援を行うなど、関西でスタートアップが成長できる環境整備に取り組んでいきます。

3つ目は「大阪・関西万博」です。
大阪・関西万博については、すでにパビリオン展示のコンセプト等も発表され、催事や会場運営など様々なプログラムを活用した万博への具体的な参加に向けたフェーズに入ってきます。さら には、万博に向けてインバウンドの回復が見込まれる中、当局では、万博の来場者に、会場だけでなく周辺の特色ある地域もあわせて周遊してもらえるよう、地域の産業、歴史文化、食などの 魅力を国内外に広く発信し、関西各地への誘客を促進する取組を地域とともに進めていきます。
関西では、ものづくり中小企業が地域で一丸となって、来訪者に生産現場を見て体験してもらうオープンファクトリーの動きが盛んになっています。また、企業や産地組合、自治体が一体とな って地域資源のブランド化を目指す取組も各地で次々に行われています。当局ではこうした各地の取組を繋ぎ、地域一体のプロジェクトとして支援することで相乗効果を図り、関西全体として の魅力を高めてまいります。

以上の3つのキーワードを柱に、関西経済の成長に向けて当局職員が一丸となって取り組んでまいります。

結びに、経済産業行政への御理解と御協力をお願いするとともに、皆様の御多幸と御健勝を祈念いたしまして、新年の御挨拶といたします。
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