平成22年度第1回の兵庫ブロック例会を6月2日(水)三宮の「東天紅」で開催した。参加者は17名。 今回の例会は講演会と懇親会で構成。講演会は福井幸男・関西学院大学商学部教授に「アメリカ大リーグにおけるイノベーション:顧客創造の歴史」の題して講演いただいた。その後の懇親会では円卓で中華料理を賞味しながらの和やかな情報交換の場となった。 講演要旨は次のとおり。
野球は手に汗握る大熱戦の方が、一般的な試合よりもエキサイティングである。また、ペナントレースの優勝争いがシーズン終盤までもつれ込む事がファンを熱狂させ、大勢の観客がスタジアムに駆けつけることになる。各チームの戦力が均衡していてこそ、こうした試合展開が期待できる。アメリカ大リーグではどのような仕掛けを作って、ファンを魅了しつづけてきたのか顧客創造の歴史を振り返り説明する。 アメリカ大リーグは「顧客創造」に向けて、ひたすらイノベーションを続けてきた。 一般的には球団数の増大と全米各都市へのフランチャイズ進出等がある。歴史的に振り返ると、ナイト・ゲームの導入、サンデー・ゲームの導入、アルコールの販売、黒人選手の獲得等もみられる。さらに、一層の「顧客創造」をめざして、「贅沢税」や「収入再配分方式」の導入等ゲームをよりスリリングにするために戦力均衡の手段を生み出してきた。 何をおいてもファンを最優先する姿勢は、プロ野球に限らず、ビジネス全般においても第一に尊重され重視されるべきであろう。よりわかりやすく言うならば、真剣なプレーと優れた技術に磨きをかけた白熱した試合を見せることが、新たな顧客創造に直結し、一層の顧客重視の経営戦略であることに他ならないのである。
福井幸男氏統計関連著書
『統計学の力-ベースボールからベンチャービジネスまで』2009年刊共立出版
『勝ち組ビジネスパースンの統計学』2007年刊NTS
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