8月11日(水)、(株)ユニオン2階会議室において大阪ブロックの第3回「経営者講話」が開催された。出席者は28名であった。 今回のテーマは『社会起業家(ソーシャルアントレプルナー)の台頭』である。 まずはじめに、(学)エール学園理事長の長谷川恵一氏よりご講演いただいた。 リーマンショック以来、金融資本主義は崩壊し、社会問題を解決する組織が台頭しはじめ、21世紀の新しい資本主義の哲学が生まれつつある。 以前、社会問題は政府や国際機関が解決し、ビジネスはビジネスマンが行う、というものであったが、現在では、社会の問題を解決するのに政府や国際機関だけには頼れない。そこで、無駄を排してビジネス的な手法で社会の問題を解決しようとしている人たちの一群が、社会起業家と呼ばれている。 日本でも、少子高齢化や環境など様々な社会的課題が顕在化する中、そういった課題を、事業性を確保しながらビジネスとして自ら解決しようとする活動(ソーシャルビジネス・SB)が注目されつつあり、SBをおこなう社会起業家が台頭してきている。 290年前の元禄時代、石田梅岩が商人のあるべき姿を探求していた。「武士の俸禄は買利と同じ」と商業活動における利益発生の正当性を説き、そうした上で、「各自それぞれ商売をしながら、天下の事に思いをはせ、万人の福祉に奉仕する気構えで商いに励むこと。そして、それと共に世間の人々が互助の精神で向かい合うべきである」と、社会的責任を考えたビジネスを展開した人物である。まさしく社会起業家の原点といえる人物である。 NBKはじめ、関西の諸団体が連携して「社会起業家」とはそもそも何かを問いただし、社会的責任を考えたビジネスを展開、社会の課題を解決していくことで、大阪が大阪らしく活性化してくるのではないだろうか。
このあと、事例発表として、特定非営利活動法人大阪NPOセンター 理事・事務局長の山田裕子氏から大阪NPOセンターの取り組みを実践している社会企業家の事例3社について説明があった。 又、同センターでは地域における問題解決・新たなCB事業創出による経済の活性化を図ることを目的として、平成20年度より「近畿ソーシャルビジネス・ネットワーキング」を近畿経済産業局の指導のもと設立されている。企業もソーシャルビジネスと連携し、社会に貢献する、そんな時代になった、と締めくくられた。 最後にもう一人の発表者である特定非営利活動法人トゥギャザー理事長の中條桂氏に自社の事業活動を語っていただいた。 トゥギャザーでは障害者と社会の架け橋として、障害者の自立と社会参加の支援活動を3つの切り口で行っている。 ひとつは啓発活動である。具体的には、「共生社会」を築くため、ひとりでも多くの方に障害者福祉を身近な問題と考えていただく場として"ふれあいトゥギャザー"を開催している。 次に、販売支援としてトゥギャザーがコーディネーターになって施設がネットワークを組んで共同生産をしている。 3つめは住環境コーディネートである。障害者が自立しながら「まち」で暮らすために、グループホーム・ケアホームの住まいづくりに確かなノウハウを持つトゥギャザーが建設のサポートをするものである。
終了後、別会場で行われた懇親会で親睦を深めた。
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